スペインのCOVID-19警戒事態、緩和のフェーズ(0)に入ったという事で

スペインでは今週に入り、COVID-19における警戒事態の制限の緩和がスタートし、フェーズ(0)という事で、1時間の散歩が許可されるほか、商店などの若干の活動再開が始りました。

警戒事態は一応、5月24日までは続く訳ですが、10日からはフェーズ(1)という事で、さすがにもう24日以降の延長は無いのではと期待、いや、願っています。

今現在ですでに2ヶ月弱。家篭もりは自粛ではありません、スペインでは強制ですから、いや〜さすがに長かった。

誰もいない静まり返った街を、室内にいて感じる。1日に数回聞こえて来る救急車のサイレン。窓の外に見える街を走るバスには、誰も乗っていない。まさに映画、ゾンビ映画ですよ。

(c) Keiko Higashi

しかし、その体験した事のない少しの恐怖は、この異常事態の中で、なぜか自分の平静を保ってくれました。

人間、絶対的な恐怖を感じるとパニックにはなりづらいものなんですね。ストレス爆発で街で何か大事が起きるという事もなく、みんな病気の脅威にひれ伏して、ただひたすらじっと待っている。だって、文句を言っても嘆いても、手立てはない訳ですから。

警戒宣言がなされてから、数千人だった感染者が一瞬で1万人を超え、(2ヶ月経過した現在では累計22万人)、一時はまさに「お先真っ暗」でしたが、4月末から急に減りはじめ、1日に数百人という数字を見て、テレビなどで医者が「ピークを過ぎれば下がる」と言っていた本当にこんな時が来るなんて、信じられない思いです。

この結果は、もちろん人と接触していないこともありますが、個人的には4月に入って続いた雨と、日に日に強くなってる紫外線の賜物ではないかと思っています。

まあ、そんなこんなな毎日ですが、色んな「初めて」の中でも、一つとても驚いたことがありました。

鳥の声がやたら鮮明に聞こえるなあと感じていた頃、深夜寝ていて、凄くきつい、石鹸みたいな匂いを感じたんですね。窓はあるんですが、こんな夜中に誰かシャワーを浴びてるのが外から匂ってくる訳でもなし、その夜は「?」で終わりました。

でも次の日も、更に強く匂ってくる。もしかしたら、街を消毒しているのかも知れない。でも数日間、ベッドルーム側からしか匂ってこなくて、ある時ハタっと気がつきました。

これは花の匂いなのだ。

外に植えられた花が、春の訪れで一斉に開花した、その匂いなのだと。

私は花がこんなに強い香りを放つものだとは思いませんでした。いや、大気汚染が減ったからこそ強く匂いを感じることができたんです。空が澄み切っているのも、鳥の声が響き渡るのも。

今週に入って、街には車や歩く人も増え、特にウチの真上の部屋ではリフォームも再開され、音が増えたことに安堵を覚える反面、俗世間に舞い戻ってきた様な若干のわずらわしさも感じるのは、2ヶ月の家篭もり生活に既に慣れはじめていた少しの弊害なのかも知れません。

過ごしてきた日々は決して休暇ではなかったのですが、再び「俗世間」で生き延びる生活に戻るには、「やった〜!」というよりも、「またやるのか」という若干の辟易感を感じるのが正直なところ。ですが、もちろん警戒事態は脱して貰わなければならないので、今私は心のフェーズを、少しずつアップさせているところです。

(c) Keiko Higashi

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