フラメンコの奇跡 〜ラ・シングラ

皆さん、フラメンコ・アーティストのリズム感って、もう奇跡的! と感心した事はありませんか。

微塵も狂わない的確さでリズムを刻んでいく声や音色や足音に、次第に自分の鼓動が重なっていく。そう、リズムとは、肌に触れる風の波が、内なる宇宙に波紋を描くこと。

La Singla

だからきっと、たとえ耳で聞き取らなくても、感じる事ができる。そうでなければ、彼女の踊りには説明がつかない。

ここにラ・シングラ ( ANTONIA SINGLA CONTRERAS 1948 -) というひとりのバイラオーラがいます。若き日のパコ・デ・ルシアも伴奏を務めた不世出の踊り手。カルメン・アマジャと同じバルセロナのソモロストロ出身で、幼い頃から踊りに才能を発揮し、そのヒターナらしい情熱的な魂ほとばしるバイレを見た人々は、余りの素晴らしさに「これは奇跡だ!」と驚愕しました。

La Singla

なぜなら実は、彼女は病気の為、生まれてから8歳まで聾唖の人生を送ってきたからです。

その後も、多少は回復を見ましたが、それでも相手の話す口元を見てやっと理解できるほどの聴力しかなかったと言います。

とにかく、この映像を見てみてください。あなたもきっと叫ぶはずです。「ラ・シングラの奇跡」は、フラメンコの奇跡そのものだと。

Festival Flamenco Gitano 1977